空を眺めて生きる


by ogisawakaoru
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Red Bull X-alps 2009 Day13

モナコを目指し、世界各国から毎回参加してくるアスリートたちは今回のレース展開をどう思ったのだろう。トップのクリスチャンマウラーを追従できたのは、過去に2度優勝しているアレックスホッファ―だけだった。最強の世界チャンピオンと言われた2人の意地と、フライト技術、コンディションの読み、ハイクの技術、そしてサポーターとのコンビネーションがぶつかり合った戦いだったようだ。対照的に、X-alps2007の時は、走り屋のトマココネアが昼夜を問わずに走りぬき優勝しそうな勢いだったのを思い出す。私を含めて今回試合に臨んだ選手たちは、トマのように走ることを意識したトレーニングを相当積んできていたようだ。

今回のようには13日間ぶっ続けで飛べるコンディションがそろった時は、良いフライトができるパイロットが断然優位に試合を展開できる。パラグライダー飛行のポテンシャルは、グライダーの飛行性能の進化とX-alpsフライト技術の熟練度が増したことで、飛躍的に向上しているのは間違いない。ハイクの技術も装備の軽量化が進みますますスピードが増し、悪天候が続く大会となれば必要な条件となってくるが、パラグライダー飛行の優位性が強烈にアピールされた大会だったと思う。

今回は、ルートが決まった時点で、飛び屋有利の展開を主催者が望んでいるようだった。多くのターンポイントはセクターからシリンダーと変更され走り屋トマココネアが大きく迂回してターンポイントを通過することを拒否していることは明らかで、トマも今年は前回と違って飛ばざるを得ないレースを展開している。やっぱりX-alpsはパラグライダー飛行技術を競う大会なのだ。歩き屋エイデンは飛行技術のレベルを上げてきていて、モナコを夢見て3度目のチャレンジだったが今回もモナコへは到達できなかった。

飛行技術が世界クラスの選手でX-alps技術を持っているパイロットはやはり強い。必勝態勢で臨んだ地元オーストリアのエルムットは若干の体調不良で出遅れはしたものの抜群の追い上げでアレックスに続く勢いだったが、管制空域の高度制限に侵入してしまいリタイア。前回最速でモナコに到達したマーティンミューラーは、トップランディングのミスで足を痛めこちらも無念のリタイアを強いられたが、独創的なフライトコースで虎視眈々とモナコを狙っていたに違いない。

モナコへ到達できるパイロットに必要な条件は、

フライト技術は世界チャンピオンクラス。もちろん使用機材も最新のものを使用できる環境にあることが大切。

X-alps技術(どこにでもトップランディングし、どの山も歩いて乗り越えることができ、どの山からも飛ぶ)のレベルは、ヨーロッパアルプスを自分の庭のように歩けること。サポーター以外の情報提供などの環境を持てることもこの能力の一部。

そして基礎体力。2週間活動しても故障しない体を作っていくこと。平均時速6km/h程度の移動速度。いざという時は1500m程度の登山を2時間強でこなせる登坂能力。ここぞという時に15km程度走ることができる能力。

となりそうだ。

トレーニングに励んでみよう。モナコへの道はまだそこにある。
by ogisawakaoru | 2009-08-27 07:03